2002年10月号掲載

●初の米本土に行く
　長年本コラムを書いてきた僕が言い続けてきたのは、米本土上陸経験ナシということと、日本にいてもTV音声をサブチャンネルで聞けば、そこはもうアメリカじゃないか！　ということだった。ところがこの7月終わりに、ついついワイフと一緒のNew York行きを決意してしまった。大好きなIchiroのいるSeattleもと考えないではなかったが、僕のお目当てはbaseballとJazzの両方だし、おマケに2001年のあの世界の動向を変えた9.11の現場に足を運びたいという衝動もあって、飛行機嫌いを返上して出掛ける覚悟となったのだった。この原稿を書き終えた後の8月24日出発、31日帰国という、親友のオーストラリア人ジャズマン夫妻に言わせりゃ「日本人らしい盆栽ホリデイ」と形容される短い旅だ。現地の安ホテルには6泊しかしない。
　旅程が決まって即座にネットでYankeesのサイトに入り、そこからチケットマスターに飛び、25日、26日のRangers戦を入手した。 　25日が(SECTION U19, ROW W, SEATS 10 TO 11)、26日が (SECTION U2, ROW U, SEATS 12 TO 13)。それぞれ2枚で44ドル、48ドルと価格レベルで下から数えて2、3番目の芳しくない座席なのだが、入手できる最良[best available]の指定で購入したんだから仕方ない。やっぱり1カ月を切ったところでのネット予約なんてこんなものなのだろうか。考えてみりゃ旅行の決定も出発日前30日を切ってからだった。
　Metsの方は僕の滞在中は遠征で主催ゲームがない。何か他に面白い情報はないかいナと捜したら、コレがあった。

●Party Marty
　8月4日、NHK BSでニューヨーカーに取材した番組があった。そこに登場した1人の主人公がMarty Haberという若者で、昨年あたりに「ブルックリンにベースボールが帰ってきた」と大きな話題になったMets傘下3AのBrooklyn Cycklonesの球団スタッフなのだ。番組中、「いまや大リーグを凌ぐニューヨーク1の人気球団」などとナレーションが入って、僕の好奇心はメラメラと燃え上がった。
「こりゃイカん、ここへ行こう」
　即座に球団サイトに入ってスケジュールを確かめ27日に観戦しようと決意した。ところが、ticketボタンをクリックしても不明[not found]としか出てこない。数日後に再度確認しても同じだったので、ほぼネット販売分がないことが分かった。こうなりゃ例のMartyクンに直接メールだ！　と即座にチケット入手の方法を問い合わせた。もちろん、「はるばるTokyoから行くゼ」と注意を惹く努力は怠らなかった。
　Hi Mikio, on the morning of the game at 10 A.M., we release up to 150 general admission bleacher seats for walk up sales only.
「ハーイ、ミキオ。ゲーム(注：夜7時)当日の朝10時に直接窓口までお越しの方のみに一般入場外野150席を発売します」
　The tickets are $5 a piece. Make sure that you are at our ticket office window at least by 9:30, because that is a popular game and there will be people waiting in line for tickets. Thank you!!
「チケットは1枚5ドル。遅くとも9時半までには球場窓口に来るように。この日は人気カードで行列ができる模様ですから。じゃあね」との返事。どうしよう！？
　ゲームの空き時間に1人獅子奮迅の大活躍を見せるMartyクンはファンに愛され、Party Martyなるニックネームを持っている。