To pretty pretty Lisa in Aomori.

ちいさな　まど　の　リーサ


ゆきぐにの　まちの　はずれに
小さな　おうちが　ありました。
小さな　おうちには
小さな　まどが　ありました。

小さな　まどの　中には　いつも
小さな　リーサが　います。
リーサは　９さいの
小さな　おんなの子です。

小さな　リーサは
すこし　かわった　おんなの子です。

かなしい　ことが　あると
かなしい　きぶんに　なって
なみだを　ながします。
あれ？　それは　ちっとも
かわった　ことでは　ありません。

リーサが　かわって　いるのは
うれしい　ときにも
なんだか　なみだが　でてくるのです。
リーサが　ながす　なみだは
ぽろぽろ　と　めから　でると
とたんに　きらきら　ひかる
キャンディに　なってしまうのです。

小さな　リーサには
こころの　やさしい　おかあさんと
いつも　ゆかいな　おとうさんが　います。

おかあさんと　おとうさんは
小さな　リーサが　つくる
なみだの　キャンディを
いつも　たいせつに　たべて　しまいます。
だって　それは　小さな　リーサの
こころの　キャンディ　だから。

ところが　ちょっと　だけ
こまった　ことが　あるのです。

小さな　リーサが　かなしくて　つくった
なみだの　キャンディは
とっても　しょっぱくて
そのうえ　とっても　にがいのです。
それでも　おかあさんと　おとうさんは
おいしそうに　たべるのです。
だって　それは　小さな　リーサの
こころの　キャンディ　だから。

小さな　リーサが　うれしくて　つくった
なみだの　キャンディは
それは　それは　すごいのです。
なにが　すごいか　ですって？
いままで　せかいじゅうの　だれも
たべた　ことが　ないぐらい
あまくて　まろやかで　ふくよかな
かおりが　して
だれも　しんじる　ことが　できないほど
おいしい　キャンディ　なのです。

いちねん　まえ　リーサは　かなしくて
なみだの　キャンディを　つくりました。
かわいがって　いた　ハムスターくんに
ゆびを　かまれて　しまったのです。
おかあさんと　おとうさんは
にがい　キャンディを　たべました。
だって　それは　小さな　リーサの
こころの　キャンディ　だから。

ちょっと　まえに　
こんな　ことが　ありました。
ゆかいな　おとうさんが　つりに　でかけ
大きな　おさかなさんに　はんたいに
つられる　ところ　だったよ
と　はなして　くれたのです。

あんまり　おもしろくて
小さな　リーサは　わらいころげ
わらいすぎた　ついでに
なみだの　キャンディを　つくりました。
もちろん　その　ときは
あの　あまくて　おいしい　キャンディです。
おかあさんと　おとうさんは
おおよろこびで　キャンディを　たべました。
だって　それは　小さな　リーサの
こころの　キャンディ　だから。

いまは　ふゆ。
ゆきぐに　には　ふかく　白い　ゆきが
ふりつもって　います。
からだの　よわい　小さな　リーサは
ゆきが　だいすき　なのに
おそとに　でられません。
まいにちが　なんだか　つまらなくて
かなしい　きぶん　です。

だいすきな　なっとうを　ねばねば　させると
なんとなく　うれしい　きぶん　ですが
なみだの　キャンディが　できる　ほど
うれしい　わけでは　ありません。

もう　すこし　すると
はるが　やってきます。
はるの　ことを　かんがえると
小さな　リーサは
なんだか　うれしく　なります。

おひさまが　ぽかぽかと　てって
きれいな　おはなが　ぽつぽつと　さいて
ことりが　たのしい　おうたを　うたう
はるが　やってきます。

さて　おかあさんと　おとうさんも
はるの　ことを　かんがえると
とても　うれしく　なります。
小さな　リーサが　よろこぶ　きせつが
やってくれば
おかあさんと　おとうさんも
とても　うれしいのでした。

あんまり　うれしすぎて
おかあさんが　なみだを　ながしました。
それを　見て　おとうさんも　なみだを
ながしました。
それでも　ふたりの　なみだが
キャンディに　なる　ことは　ありません。

おかあさんも　おとうさんも
はるが　はやく　くれば　いいのに　と
おもいました。
小さな　リーサの
こころの　キャンディが　たべたい　のです。
あの　あま〜い　キャンディを　ね。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい



小さなリーサの大きなたいへん

この　ものがたりの　タイトル
なにか　へん　でしょ？
まだ　おぼえてますか？
「小さな　まどの　リーサ」の　つづき　です。

じつは　小さな　リーサが　すこし　たいへん　なのです。
リーサは　このごろ　あしが　ちょっと　へん　なのです。
タイトルが　へん　なのは
すごく　へんな　ことを　たいへんと　いうのに
大きな　たいへんと　いうのは　やっぱり　へん　です。
だって　この　タイトルでは　大きな　大きな　へん
という　いみに　なってしまうから。

でも　リーサを　だいすきな　まわりじゅうの　ひとが
大きな　たいへんだ　と　おもってしまったのだから
しかたありません。
リーサは　もうじき　びょういんで　しゅじゅつを　うけます。

あなたは　「しゅじゅつ」を　３かい　つづけて　いえますか？
しゅじゅつ　しゅじゅつ　しゅじゅつ。
しゅじゅつ　ちゅじゅちゅ　じゅじゅじゅ。
ほら　まちがえた。
なかなか　いえないでしょ？
しゅじゅつを　つづけて　３かい　いうのは　むずかしいけど
ほんとうの　しゅじゅつを　うけるのは
もっと　たいへん　です。

ねえ　リーサ。
しゅじゅつは　たいへん　だけど
しゅじゅつの　あとは　すごく　いい　きぶんに　なれるんだよ。
だって　ちょっと　へんに　なった　あしが　よくなるんだ。
と　だれかが　いいました。

すると　小さな　リーサが　わらって　こたえました。
しゅじゅつ　なんて　たいへんじゃ　ないよ。
いまの　ちょっと　へんな　あしの　ほうが
大きな　たいへん　なんだよ。
まわりの　みんなが　わらいました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい