むかしむかし 物語

むかしむかし　あるところに
おじいさんと　おばあさんが　いました。
ある日　おじいさんは　山に　キバ狩りに　行き
ワシントン条約に　ひっかかって　つかまってしまいました。
ある日　おばあさんは　川に　ザンパンを　すてて
環境保護条例に　ひっかかって　つかまってしまいました。
金太郎は　町で　マサカリを　ふりまわし
凶器所持の　現行犯で　とっつかまって　しまいました。
桃太郎は　鬼ヶ島に　行く　とちゅうで
贈賄の　容疑で　とっつかまって　しまいました。
さるかに合戦の　かにの　仲間たちは
さるに対する　集団的な　いじめが指摘され　補導されました。
うらしま太郎の　おじいさんは　すでに　戸籍がなくなっていたので
住所不定の　不審者として　とっつかまって　しまいました。
かぐや姫は　たくさんの　男たちから　婚約不履行を訴えられ
月に　帰る　前に　とっつかまって　しまいました。
むかしの　人は　たいへんですね。

　　　　　　　　　　　　　　おしまい


一寸法師
　　　　　　　　　
おわんの　船と　はしの　かいで
一寸法師は　京の　みやこに　のぼりました。
大通りに　出たら　あんまり　小さすぎて
だれも　気づいて　くれません。
すぐに　ふみつけられて　死んで　しまいました。

　　　　　　　　　　　　　　おしまい


マッチ売りの　老女
　　　　　　　　　
　　　　　　　　　
マッチ売りの　少女は　成長して
やがて　年を　とって
マッチ売りの　老女に　なりました。
少女の　ときも　むすめ時代も
マッチは　少しずつ　売れて　いました。
ところが　老女に　なったら
ほんとうに　だれも　見向きも　しなくなって
ついに　マッチ売りの　老女は　死んでしまいました。

　　　　　　　　　　　　　　おしまい


きつね　と　ぶどう

ぶどう畑を　通りかかった　きつねが　いました。
見上げると　高いところに　大きな　ぶどうが
たわわな　ふさを　つけています。
「ふん　どうせ　すっぱい　ぶどうに　きまってるさ」
きつねは　通りすぎようと　しました。
でも　もう　いちど　考え　なおしたのです。
「食べて　みなくちゃ　あじは　わからない」
知恵のある　きつねは　近くに　ふみだいを　見つけ
それに　のって　大きな　ぶどうの　ふさを　もぎとりました。
食べてみたら　なんとまあ　すっぱい　ことでしょう。
「あっ　すっぱいした」
と　いう　だじゃれを　いう前に　
あまりの　すっぱさに　きつねは　もんどりうって
死んでしまいました。
　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　おしまい


スンデレラ　物語
　　　　　　　　　　　
お城に　たいそう　かわいらしい　姫が　生まれました。
名前を　スンデレラと　いいます。
姫は　美しく　成長し　年ごろの　むすめに　なりました。
町中から　あるいは　よその国からも
姫の　美しさを　ききつけて　結婚の　相手になってほしい　と
申し込みが　ありました。
毎日が　お城での　お見合いに　なりました。
「おお　お美しい　姫よ」
姫に　会った　よその国の　王子が
ためいきまじりに　いいました。
「ほえ　おらが　スンデレラだ」
スンデレラが　こたえました。
つぎの日　王子は　城を　出て　
自分の　国に　帰ってしまいました。
「姫の　ほんとうの　お名前は
シンデレラなのでは　ありませんか」
また別の　王子が　いいました。
「んだ　おらの　ほんどの　なめえは　スンデレラだ」
つぎの日　その王子も　自分の　国に　かえってしまいました。
つぎから　つぎから　スンデレラに　会った　人びとが
あきれはてたように　お城を　去って　いきました。
「どうすで　みんな　けえって　いっちまうだ」
スンデレラは　とても　悲しく　なりました。

　　　　　　　　　　　　　　おしまい