ワイフの友人のお１人に実川元子さんという方がおられる。僕もすでに友人の１人として名前を連ねてもイイのかナと思うのは、彼女のオフィシャルサイトに寄稿した駄文を掲載してもらったことがあるからだ。（http://www.motoko3.com/）
　ファッション業界にいたこともあり、ライターであり翻訳家でもあり熱烈なサッカーフリークでもある彼女の本格的な仕事ぶりと比較すると、思い切り恥ずかしい限りなのだが、これで僕も昔、サントリーの洋酒部門輸入バーボンの雑誌広告の企画で「女の下着とバーボンに関する考察」などという無謀なテーマに挑んだことがある。もう１５年以上も前のハナシだから時効と思って許してもらいたいのだが、その時の企画者としての思考回路をばひとくさり。
　媒体は男性週刊誌。全３〜４ページのカラー企画モノ。バーボンは男っぽい酒のイメージが強すぎるから、ここでちょいとイロっぽい女性ネタで考えよう。まして媒体は若いお兄ちゃん向け。ビジュアルに刺激があって、なおかつ必然性のある表現にするためには……などと考えていたら、ちょうどその当時、東京・表参道だったか青山のどこかギャラリーで「女性の下着展」というのをやっていた。いわば西洋女性史とも言える催しだったので、現場に駆けつけると「刺激的」とは対極の世界。ところが、企画のプロットだけは瞬時に出来上がった。「これまで女たちを締め付け、束縛し続けてきた下着の呪縛から解き放たれて、今日で
はこれほどまでにのびやかな下着が定着し始めている。ススんでる女たちの下着がススんでいるように、ススんでる女たちの酒の選択もススんでイイ。男の酒だったバーボンも今やススんでる女たちが愛飲する酒だ」
　もうちょっとマシな企画文を用意したのだとは思うのだが、コレが通った。最大の原因はその「下着展」とのタイアップ、早いハナシが写真や素材提供を得られたのである。
　正直なところ、グラマラスな女体に黒い下着というステレオタイプのビジュアル程度しか想定していなかったので、露出度の極めて低い古いコルセットのようなモノにインパクトがあるとも思えなかった。
　無闇に忙しい時期だったので撮影には立ち合わず、入校前に初めて全体を見た。アートディレクターの指示によって、ちゃんと黒いガーター付き写真やら何やらがひと通り用意されていた。巻頭ほぼ１ページを飾ったのは膝下まですっぽりと包まれたコルセット下着の写真で、グイグイといかにも窮屈そうに締め上げられたウェストのクビレなんぞに出会ったのは何年ぶりかと、思わずうなった。
　ワイフをはじめ同世代で活躍する女性たちを見ていると、いかにもホントにコルセットが廃れたワケが分かる。この時代、総じて「ハラが据わっている」のは男よりも女に多く、ウェストあたりがクビレていちゃ、イイ仕事なんぞできっこないのだ。う〜んむむ。残念。