■結城しのぶ　8/22

　昨深夜、ケイブルTVで映画「正午なり」という作品がオンエアされ、その最初のタイトルバックロールにこの女優の名前を見つけた。そうだった。僕はこの女優に昔からぞっこんなのだった。ぞっこんの割には映画館で1本も出演作品を見たことはなく、プロフィールに関してもまったく知らない。もう20年はるか以上も前のTVの2時間ドラマ、それもサスペンス物のような作品に登場して美しさにハッと目を奪われ、以来日本の女優の中でいちばん美しいヒトと勝手に決め込んでいるのだ。卵形の美しい顔立ちに何とも愁いを帯びて光る大きく黒い瞳。それはいつも涙を含んでいるようで、目鼻だけを見てセクシーと感じる数少ない女優である。で、後にも先にも結城しのぶ出演作品を見たのはそのTV2時間ドラマぐらいしかなく、そのドラマの中で意外にもあっさりと彼女のシャワーシーンがあって、その肉体も大いに美しいことを知ったのであった。だいたいにおいて当時のドラマで裸になる女優と言えば日活系またはアングラ芝居やATGを掛け持ちするような性根の座った女優と相場が決まっている印象だったので、多分そちら方面のヒトなのだろうぐらいにしか思っていなかった。何しろうっすらとした記憶では、あるいは彼女の外観的印象からは、美しくも上品なうら若き未亡人を思い返すばかりで、それは未通女とは違いながら清楚な美しさをたたえるというエロティシズムの極致の存在にさえ思われたのであった。で、「正午なり」のキャストに名前を見つけた瞬間、そうした思いが一瞬によぎり、よぎると同時に自分の描く性的幻想のなんと保守的なコトかと嘆く気持ちも働いて、しばらくの躊躇の後でTVのスウィッチを切ってしまったのだった。何しろ作品は70年代後半のATGモノで、青年の性の悩みのようなテーマであり、結城しのぶはバーだかスナックのホステス役だし、こりゃまた裸のシーンはあるのだろうナと勘ぐったのである。潔く諦めたのは、結城しのぶが僕の中の極めて保守的な性の幻想の象徴だからなのかも知れない。でも、再放送があったら、今度は見よう。ひゃは。
●今日の１句　　結城しのぶがいちばん美しいのだ
●今日のもう１句　　室温29度の冷えすぎなんて、あるか？

■セミと自画像　8/21

　とは言っても、暑いのだった。大半が雲に覆われた灰色の空から、それでもちょっぴりと薄日が差して、それらしく暑い。大汗だ。午前中にギリギリと鳴き始めるのか止めるのかハッキリしないツクツクボウシが近くにいた。本格的な鳴きに突入するでもなく、気がついたらそれらしい声がしなくなった。今度は夕方近く。アブラゼミのこれまたがなり立てるように鳴くでもなし、遠慮がちなしゃがれ声が聞こえ始める。この夏、セミどもはいったいどうしたんだろうと改めて思う。樹木下から這い上がり羽化してセミとなってあっと言う間に死んでいく、そのセミの成体にさえなりそこねた連中がいるんじゃないだろうか、あんまり寒くて。シャ〜ンシャ〜ン、ミ〜ンミ〜ン、ガナガナガナガナなどと大鳴きしたいんだけれど、どうも今ひとつ気分がパッとしないでブツブツと独り言にばかり明け暮れてるこの夏のセミと僕は、なんだか似ているゾ。くっそ。
●今日の１句　　セミ鳴くでなしクーラーほどでなし
●今日のもう１句　　アメリカ在住者の日本愛国に警戒だ

■甲斐のない営業　8/20

　夕方近く、拙宅に唯一エラソーに鎮座ましましているデジタル複合機のメーカー傘下の営業マンがやって来た。玄関先での会話。「え〜、この度お宅様の担当をさせていただくようになりました者で、ご挨拶だけでもとちょっとお寄りしました」「ホイホイ。ご苦労様です」「で、こちらの機種は？」「あ、コピー＆ファクスの複合機です」「あ、そうでしたネ。で、ご契約はリースで？　それとも買い取りで？」「う〜〜んむむ。どっちだっけかナァ〜。多分リースです。保守メンテナンス契約の不要なタイプです」「あ、さようですか。で、お仕事ではどんなご活用を？」「いやはや、コピーは滅多に使わなくなっちゃったし、ファクスなんざほとんどないし」「やっぱりインターネット時代ですからネェ〜」「そうそう。おマケにこちとらただ文章書くだけの商売で、原稿送付もほとんどネットで済んじゃう」「はあ。パソコンはどちらの機種をお使いで？」「ホイホイ。マックが3台ばかり」「どんなOS環境なんでしょうか？」「9.0もありゃ、8.6、古いのだと8.4なんてぇモノまである」「やっぱりページメーカーなんかのソフトをお使いで？」「全然。ただ闇雲に文章を打ち、メールにしてタレ流すだけだから、加工の手間もない」「すると、マックの新機種なんかにはご興味が？」「ないない。ウチにあるマックは全部もらいモノで、ヘビーユーザーの友人とこが最新機種使いまくり、さらに新機種が出たらどんどん買い換えるから、そのたんびにドサドサといただけちゃうのでまったく市販されてる最新機種なんぞに興味はないんであります」「うへぇ〜」
　もちろん、ハナシは勢いだから、僕のハナシにゃ尾ヒレも背ビレも胸ビレもついちゃってるワケで、さらには針小棒大と来ているのだから、若い営業マンにとって何ともはやとりつくシマもない客とはこういうのを言うんだろうナ。ひゃは。
●今日の１句　　他人のために原理原則を振りかざしてみた
●今日のもう１句　　ようやくどんよりと夏みたいなしけた空気だ

■人身事故という事件　8/19

　昨深夜1時ちょっと前のこと。セガレが青い顔して家に飛び込んできた。ビデオショップなのかコンビニなのかに出掛けようとアパートの敷地を出たところで自転車と接触し、その自転車の主がケガをしたというのだ。救急用の応急措置セット一式携えてもう１度家を出る。相手は自転車の3人連れ先頭のほろ酔い中年で、アパートの影から現れたセガレに驚いて急ブレーキをかけ、後輪が浮いてしまったために頭部から地面に落ちたというのだ。セガレの方は肩に軽く接触された程度のことだったらしい。生真面目に対応するセガレに相手の中年男性は「こちらの不注意、何も心配はいらないから」と言うばかりなのだが、打った箇所が頭部それもこめかみあたりで、さほどの出血はなかったけれど残りの2人の青年と一応救急車を呼ぶことになった。そのあたりで着替えを済ませたワイフも様子見に表に出たのだが、こりゃなかなか一大事。救急隊員が自転車と歩行者というそれでも一応人身事故の範疇に入る事故だからと警察に連絡を入れ、そのうちパトカーのお出ましと相成った。セガレは救急車に同乗して病院へ向かい(後で確認したら負傷者に大丈夫だからと制されて現場に残ったとのコト)、40〜50分ほどで帰って来たのだが、合わせるように玄関チャイムが鳴り、警官の事情聴取に。その警官のなんとまぁ〜脅すこと、脅すこと。相手が万が一深刻な障害を負い、さっきまではキミに責任はないと言ったとしても気が変わって起訴することもある、そうすりゃ過失傷害という立派な罪に問われることにもなるんだナァ〜、などとぬかしやがるもんだから、セガレの表情も大いに曇るわいナ、そりゃ。事務的処理だからと僕も口を出して話を済ませると、今度は「キミ、ちょっと」と警官が拙宅アパート前の現場で行われている実況検分に立ち会わせようということらしい。冗談じゃない。さんざっぱら脅しをかけておいて、未成年のセガレ１人にさせておけるかってんで松葉杖ついてホントに久しぶりに表に出た。見るとすでに5〜6人の警官が型通りの実況検分を行っている。病院に担ぎ込まれた残りの同僚らしき若者2人もそこにいて、事故後ずっとそんな状態が続いていたらしい。今朝になってワイフが病院に電話を入れ、すでにその人物が病院を出たという報告を聞いて一安心ではあったが、なんともお騒がせな一夜であった。ゴミ出し後の薄暗がりの中を通りに出ようとしたセガレに格別の落ち度がわるワケでもないが、確かにその場所では時々自転車とハチ合わせになりそうな経験をしたことがこれまでにもあったそうだ。もうちょっとセガレの方にも注意力が必要だったんじゃないか？　あるいは「見えないなら見えないで、気配ってぇもんを感じろよ」とかナントカ、ワケの分からない説教をしちゃった僕なのであった。
●今日の１句　　警官にさらに身構える父親だったりして　ひゃは
●今日のもう１句　　ワイフ決然と母親の顔になりにけり

■イスが合わない？　8/18

　日記を１日休むというコトは、どうやら僕の場合ほぼ１日をまったく無為に過ごしたと言えなくもない。再び同一姿勢を継続してとれない状態。仕事デスク前のイスと居間のイスはまったく同じ仕様の僕専用イスで、かれこれ20年近く前に購入したなかなか値段の高いオフィスチェアであった。買った当時はなんだか社長イスのようだとも思ったが、よくよく考えてみれば部課長クラスのイスである。肘掛けがあり、背もたれと座面の高さ調整は自在にできる。来客時には相手が複数であればもう１脚も引っぱり出して居間に運ぶ。たくさんの書き物は、だからこのイスがあって初めて生まれた。手書き原稿がワープロになり、コンピュータとなってからもずっと、イスだけは代わっていないのだ。
　ところがどうにも、このイスが根本的に僕の下半身状態に合わないのではないかとつくづく思うようになった。僕の右半身は股関節でも膝関節でも曲がらないから、必然的に左のお尻のほっぺた(ぎゃ。そんな言い方があるか？)がほぼ全身の支点となる。それでも右半身もイスの座面には接触しているワケで、それがある種血行障害を引き起こしている感じなのだ。居間でTVを見る時にはこれにさらにピアノ椅子をオットマン代わりにして投げ出した脚をのせているのだが、ここでも最近右脚のふくらはぎあたりに痛みが伴って、それは大いに血行障害的なものなのだ。う〜〜〜んむむ。困った。何か基本的な対策を講じないと原稿書きどころか大好きな大リーグ中継まで見られなくなりそうだ。くっそ。
●今日の１句　　生態が横へ横へと伸びるなり〜〜
●今日のもう１句　　僕は座すと言う家人は横臥すると言う