■形容インフレ

　昨日のサッカーU22日本対ニュージーランド戦をいつものようにTV観戦した。評判の高いサッカー専用競技場、神戸ウィングスタジアムってのも楽しみだった。しっかし、あれまぁ〜〜。ひでぇピッチ状態で、芝生なのか砂の上なのか分からない感じ。通気・日照という芝にとっての環境問題と、屋根付きの快適観戦の両立の難しさを改めて思う。
　かつてゴルフにトチ狂っていた僕だからこそ分かるのだが、今日のサッカー競技場の芝の育生技術を支えているのは、バブル期に乱開発されたゴルフ場の芝育生技術なのであり、ある意味、バブルが残した数少ない正の遺産と言えなくもない。かつての名門ゴルフ場のグリーンと言ったら、そりゃ高麗芝のコトだったのであり、本来亜寒帯(?)に適合するはずのフカフカツルツルで深緑の美しいベントグリーンの南限を飛躍的に下げたのが、バブル景気に踊って作られたゴルフ場のグリーンなのであった。あ。脱線した。
　さて、ゲーム観戦中、いつも通りにイマイチ華のないこの世代のゲーム内容はともかく、僕の気になるのは決まって実況の話法。右サイドFC東京の今をときめく石川クンの「スピードスター」はまだしも、唯一の大学生代表に「早稲田のカフー」という形容を聞いてしまうと、もうイケまへん。すかさず後半からご帰宅観戦なさったワイフも「きゃ、徳永クン、きっとカフーにだけは聞かれたくないはずよネ」と正しい一言。ジェフ市原の阿部クンは確かにフリーキックに絶妙の冴えを見せるんだけれど、「和製ベッカム」と形容されちゃ本人が堪らないんじゃないだろか。穴があったら入りたい、とか。もっとイケないのは、僕らの贔屓クラブの期待の若手でもあるんで名前は伏せておくが、いちいち登場するたんびに「新・アジアの壁」と言われるのであった。ハイハイ。確かにGK前を守って敵の攻撃をはね返す最後の砦の位置にいるんだから「壁」は不適切じゃないんだけれど、それじゃいつから「アジアの壁」なんだ？　かつての柱谷クンとか井原クンとかがそんな言われ方していたのをボンヤリと思い出すが、同時期に「アジアの大砲」と言われたFWはついに世界どころかアジアにさえ名前を残さずに引退していった。当時、拙宅ではそのFWのコトを「アジアの木偶の坊」と呼んでいたりもしたっけ。ひゃは。セガレが大笑いしながら連呼するものだから、ああ子供の教育に悪いなどと思ったりもしたものだ。どっちにしても、「アジアの」の形容は「世界に伍して活躍できるほどの逸材じゃないけれど、このアジアだったらネ」という妙に姑息な打算が見え隠れしてイヤな後味。おマケに、それを使ってる実況アナウンサーが韓国や中国などというアジアの列強、さらには高さで日本が及ばない中東の列強ライバルたちのほぼ何の情報も知らないコトが容易に推測できるのも、なんだかアホらしい。みっともないヨ。スポーツ実況の形容インフレ！！
●今日の１句　　見えない安全宣言後の責任の在処
●今日のもう１句　　凡戦のゲームを作る相手かな