■無謀なる豪遊記

　彼女が生まれた時から知っている21歳ムスメのトコちゃん姫が自立自活のために選んだ職業が六本木のとあるラウンジ・ホステス嬢と聞いて、ミキオおじさんとしては1度は店に顔出す覚悟となった。事前に相場を聞いて怖じ気づき、ビビりまくって出掛ける唯一の救いは、我が最愛の泥酔フレンド三亀さんの同行の申し出だった。だいたい女性が侍るクラブなどの類には、これまで代理店による接待で連れて行かれたコトはあったが、51歳の今日まで自腹切って出掛けたコトなんぞない。趣味じゃないのだ。
　その世界の「同伴」システムに則り、3人してヒンジュクで待ち合わせ。「noy」という瀟洒なバーを振り出しにした。ビールを2、3杯やったら即座に酔っ払いモードに突入し、毎度お馴染みのジャズバー「サムライ」のボトルが切れているコト思い出し、「5分だけ寄って、ボトルを入れよう」というコトになった。ドタドタと入店し、ワケ分からんけどボトル形状が素敵なコーンウィスキーを入れ、即座に退店。店主・二健さんは毎度長っ尻の僕だからと「5分で帰る」という僕の宣言なんぞ信用せず、ホントにソレを実行したら狐につままれた様子。なにしろトコちゃん姫の「同伴」は9時までに入店が規則なのである。タクヒー飛ばして一路六本木へ。
　店に入ると客は僕らだけ。ママさんやらお姉さま方、それにここから職業に突入のトコちゃん姫まで総勢7名ぐらいの女性陣が周囲を取り囲む中、ふんむむ、こーゆー遊びが世の男どもの琴線をくすぐり金銭を放出させるのであるナ、などと思いつつ、飲む。総勢9人で飲むボトルなんざ、あっと言う間になくなるのは当然で、次いでもう1本。ホステス嬢たちはハイエナのようにビールやら何やら頼みまくってオーサワギ。隣席に客も相次ぎ、その内のアホ客がヘタなカラオケ始めたところで退散というコトとなった。準備予算をはるかに超える超弩級料金を精算してもまるでヘコタレないのは、すっかり酔っ払いだったからであり、三亀さんと僕の2人は「中年オヤジの覚悟の豪遊」とゆー腹を決めての支払いだった。バカを承知の豪遊で、それぞれの脇に付いた女性陣と大いに会話が弾んだのは、こちとらにまるで邪念も野心もないからだったのではアルマイト。
　トコちゃん姫も連れ出して近所のおでん屋に突入。僕にしちゃホントに珍しく数年ぶりに酒飲んで気分が悪くなってトイレへ。三亀さんも珍しく「う〜ん。もう飲めません」と弱音を吐いた午前5時過ぎに最後の店を出たのであった。
　ところで、初体験の「女性陣侍らせ」の感想。キレーでベテランのホステス嬢ってのは気持ちがとっても男っぽく、また副業としてのホステス嬢がさまざまな別の顔を持っているコトも相分かったのであった。でも、普通の、それもジャズなんかが流れてるバーがイイよぉ〜〜〜〜。おベンキョーにはなったけんど。
●今日の１句　　二人してホステス接待する会話好き
●今日のもう１句　　帰りの財布が借用書で厚くなった