■どっちの理不尽ショー

　若き詩人の堀江美奈子さんは悪質な酔っ払いで、昨夜はレイプもどきに無理矢理クツを脱がされ、足裏マッサージをされたのだった。ジャズバー「サムライ」の他の客、中でも僕から見て真正面の席におられた老紳士の2人連れは、横の若い女性が急にイスの下に潜り込んでモゾモゾし、それを受けている僕が「イヤん、ヤメてってば、きゃ〜」などとウメいている様子を不思議かついかがわしそうな表情で眺めておられた。カカカ。
　昔読んだ記憶のある「輪舞」はミュッセ作だと記憶していたが、「アレはシュニッツラーよ」と、またまた女装の麗人ミドリさんに浅学を看破されちゃった。
　そいや。おとついの晩飯時に、TVで「どっちの料理ショー」という「醜いほどに食い物だけはまだまだバブルが続いてるゾォ〜ッ」がコンセプトの番組を見ていた。料理にオムハヤシライスってのが登場し、オムライスだけで十分じゃねぇかと思いながら見ていたら、チキンライスの上にのっけるオムレツが最後にナイフで切れ目を入れるとドロドロとウマソーに崩れ落ちるサマが何ともステキで、思わず「今度客でも来た時に、コレを試しに作っちゃるのダ」と独りごちてみたのだった。
　すかさずワイフが「イイのよ。客のある時じゃなくってアタシに作ってくれれば」などとぬかしやがるもんだから、「フン。たった1人前作るのに、こんなメンドクサいことなんざやってられないのだ」と答えたのだった。「キミのとアタシの分と2人前で十分じゃないの」などとぬかしやがるもんだから、「こちとら、こんなモノは食えないのだ」と答える。「イイこと。お料理の味ってのは、仲良く2人で食べてこそ美味しく味わえるワケで、キミがいくら上手に作ってくれても、1人で食べたってちっとも美味しくなんかないわヨ」などと非科学的なコトぬかしやがるもんだから、「自分で作った料理なんざ決してウマいとは思えないし、だいいち僕にモノを食え、ましてメシモノを食えとは、何て理不尽なコト言いやがる」と答える。「理不尽なのはどっちの方ヨ」とワイフが答えたので、「どっちの料理ショー」は一転「どっちの理不尽ショー」となったのであった。カカカ。
●今日の１句　　向き合える男つくんないと小僧のまんまだゾ
●今日のもう１句　　失った書籍探しが頓挫する