■コーヒーを淹れた

　そいや。こないだの表参道へのお出掛けで、ワイフと一緒にカフェに入った。珍ひいコトだ。もう喫茶店の類に入店するおデート相手はワイフ以外にはいない。他の誰ともカフェなんぞに入って油断したくないのだ。いちばん最後にカフェおデートした相手は俳句朗読パフォーマンスの女王ギネマさんとだったが、喫茶店というのはほぼ客同士が真正面に向き合うコトとなるので緊張感夥しく、まともな会話なんぞになりっこないのであった。油断は無言の時間を招く。そりゃとっても危険なのであった。沈黙は見つめ合う時間を生み出すし、見つめ合いとはお見合いのコトで、恋愛至上主義の僕はお見合い嫌いなのである。なはは。
　そりゃそーと。夏のヌーヨーク滞在1週間ですっかりエスプレッソづいた僕ら夫婦が表参道のカフェに入った時に注文したのもソレだった。どうやら近頃になってようやくエスプレッソ流行りが定着したらしい、とはカフェ巡り大好きなワイフの言。そいや、しばらく顔を出していないヒンジュク歌舞伎町のジャズバー「ナルシス」でも昼間の喫茶タイムの売り物は本格的な抽出機で淹れるエスプレッソだ。不義理をしちゃっている。今度行ってみよう。
　珍ひく昼前に起き出し、ワイフが毎日ポットに淹れ残していってくれる冷めたコーヒーを飲みつつ過ごす。そのうちコーヒーを飲み干し、いつもだったらコーラを飲む。酒場で会う友人たちが大抵驚くのは、この僕が意外や甘党なのだというコトだ。小さいエクレアとかシュークリームなどをつまみ、コーラを日に半本ほど飲めば、夜のビールタイムまで僕の腹は保っちゃうのである。きっと糖分をカラダが欲している事情があるのだと、僕は自分だけでナットクしている。で、本日の朝食兼昼食はおとついワイフが買ってきてくれた餡ドーナッツで、コーヒーもコーラもなくなっちゃった本日は大いに困った。何のコトはない。アパートの目の前にコンビニエンスストアがあって24時間待ち構えているんだから、コーラを買ってくればイイだけのハナシではないか。ところが、コンジョ無しでも人後に落ちないこの僕に、今日の寒さは大敵で、渋々自分でコーヒーを淹れるハメとなったのだった。芳醇な香りが部屋に立ちこめて一瞬の贅沢を味わったが、デスク上のコーヒーカップに湯気が立っていたのはほんの2、3分だった。寒”い”〜〜〜ッ。
●今日の１句　　陽水もジャズに傾倒しているみたいだな
●今日のもう１句　　黄金色の泡湯炙りにして香り立つ