■お姫様と女王様

　ゆんべは酔った。21歳のトコちゃんが女王様として君臨している様子のバンド仲間2名プラス1の20歳の若者総勢4名との集団お見合いじゃなくっておデート。宮ちゃん、タケちゃん、矢口くんなどとそれなりに盛り上がっていた。トコちゃんはその仲間の中ではどこかカリスマさえも感じさせている様子で、男の子たちはなかなかアタマが上がらない。まさに女王様の風情みなぎっていたのだが、そこに「サムライ」常連の女装の麗人ミドリさんの姿が見えたので、僕は陰謀巡らせて若者仲間に引きずり込んだのだった。トコちゃん女王様も形無しの正真正銘女王様のお出ましとなり、いよいよ男の子たちの口はポカンと開きっぱなし状態となったのであった。ぎゃはは。
　ヒンジュクの夜を徘徊するオトナ世界の妖しさをモノの見事に体現しているミドリさんの存在について、彼女(?)が途中トイレに中座したスキに若者たちに感想を求めた。「す、す、すげぇ！」のコトバがすべてであった。トコちゃん女王様は持ち前の旺盛な好奇心と社交性をフルに発揮して何度かミドリさんに疑問や意見をぶつけてみるのだが、ミドリさんの驚異的な知性とボキャブラリーに圧倒され、記念撮影の段階では「ミドリさんが女王様、ワタシはお姫様なのだ」と悟った様子。トコちゃんは僕から見れば、21歳という年齢にそぐわない鋭敏な知性を持った女性だが、ミドリさんと相対峙すると、まだまだ小便臭いコムスメに過ぎない扱いだった。仕方がないのだ。ミドリさんは男を愛する人間なのであり、女はあまりお気に召さないはずなのだ、と僕は勝手に解釈。トコちゃんたちが終電時間で帰ってから、初めてゆっくりミドリさんと2人で酒を酌み交わした。美意識のみで生きている自由人はやっぱり美しく、彼女の若かりし頃のまるでブロマイドみたいなモノクロ写真をいただいた。店主の二健さんに言われたのは、ミドリさんの写真を見せられた常連客は多いけれど、もらったヒトは今までいないかも知れないとのこと。彼女を敬愛している三亀さんはどうだろう。こりゃ光栄以外の何物でもない。
　本日は市ヶ谷で小川未明文学賞のパーティー。出席のつもりだったけれど急な痛みの発生で、これから鎮痛剤飲んで様子見。さて、どーしよ。
●今日の１句　　30年前だったらきっと恋をしたでせう
●今日のもう１句　　そこにある幻のように頑強な肉体