■サックス練習でオーサワギする

　僕の実の姉もヨーコさんという。昨日は別の魅力的なヨーコさんが拙宅に遊びに来た。初めてのことだ。いつも彼女のことは「俳号」らしき通名で呼んでいるので、正しくきちんとご本名を教えていただいたのも初めてだった。ヤバいことになった。何を隠そうこの僕は、どこかシスター・コンプレックスがあって、ヨーコさんは漢字まで姉と同じだった。こりゃ、悪いコトができなくなる。きゃっは。
　昼の1時過ぎに現れたヨーコさんの肩にはサックスケース。そう。お互いにアルトサックスを演るので、1度練習を一緒しようと誘いをかけたのだ。夏のN.Y.で、ジャズ練習用に使えるマイナスワンのCDをしこたま買い込んだので、バックバンドは絢爛豪華に勢揃いなのであった。ぶっほぉ〜ッと2人で音を鳴らす。ヨーコさんはサックスを始めてまだ2〜3年だが、猛烈に集中して特訓中。こちらは十数年前に衝動買いした当初の2年ほどは熱中したけれど、以来ときどき思い出したようにケースから出すことはあっても、ぐ〜たらシロートのロクデナシ・サックスだ。
　お互いにとっちらかりながらも、次から次にスタンダード曲にチャンレンジ。ヨーコさんのはヤマハ、僕のはセルマーという、それぞれ一流の高級楽器なのだが、本格練習の日々を送るヨーコさんの音が圧倒的に大きい。アパートの住人から苦情が出なかったのは、ほぼ奇跡とも言える夕刻まで2人のセッションが続いた。こちとら日頃から、練習する時にはコソッと音を出す習慣がついちゃっているのだが、「あんまり大きい音出しちゃマズいですよネ」というヨーコさんの音は、どう抑制してもデカいのであった。
　技術のマズさはお互いさまだけれど、僕が感心したのはヨーコさんの志の高さで、「60歳でヴィレッジヴァンガード・デビューをめざしてます」という半分冗談、半分本気のコトバはそのまま音のデカさに現れるのだった。いけね。僕のサックスはすっかりアパート・サイズにこぢんまりしちゃっているナァ〜と反省しきり。
　ところで、楽器というモノは、実はそれを使う人物の力量によって極端に鳴りが違ってくるもので、最後にお互いの楽器を交換して鳴らしてみた。ヨーコさんのサックスは驚くほど滑らかに音が出て、反対にフランス製名器の我がセルマーを鳴らすヨーコさんの額にはシワが現れた。大差ない力量の2人なのに、すでに楽器はそれぞれの志を端的に現しちゃっているのであった。ふんむむ。イカん。
※そんなワケで、練習途中からビールを飲み始め、やがてワイン＆ビールの酒盛りとなった昨日は、ついに日記中毒からの解放を余儀なくされた。ついにアクセス数10万の大台にも乗り、それもご報告しておこう。
●今日の１句　　味なんぞ出してるヒマはないはずだ
●今日のもう１句　　練習するゾ明日っから