■クルマは不公平である

　昨夜のプロボクシング世界タイトルマッチを見て改めて感じたコト。やっぱりボクシングとサッカーは、その競技の本質において極めて類似点が多い。ジーコやドゥンガなどブラジルのサッカー達人たちがよく口にした言葉「日本人はマリーシア(ズルさ)が足りない」を、昨日のボクシングで再確認したところだ。
　ズルさというコトで思い出したのは、自家用自動車保有者についてだ。ちなみに僕は運転免許も持たないし、自動車も保有していない。クルマの性能は年々向上するばかりで、燃費の良さや車内の快適性、走行性能、安全性など、ドライバーや同乗者へのキメ細かな配慮は「ああ、クルマって快適そうねぇ〜」と僕でさえ羨むもの。日本経済のまさに基幹を担う産業であり、消費行動になっているのだから、みんな大手を振って運転＆ローン地獄を楽しんでいらっしゃるはずだ。
　最近、東京の千代田区という自治体が「路上喫煙の禁止条例」なるものを発表し、そのコトが議論されてみて感じたのは、「環境美化」が条例施行の根拠になるのはおかしいというコトだ。「環境美化」などという気持ち悪い理由でなく、「歩きタバコは非常に危険である」と言うなら、僕も分かる。喫煙者の僕でさえ、これまで何度も歩行喫煙者のタバコに触れてヤケドしそうな目にあった。灰皿もないのに吸ったヤツが火種も消さずに平気でポイ捨てする神経は、僕にも分からない。「歩行者の安全・火災原因の駆除」の方がスッキリとする。
　ところが、全国各地の住民を苦しめているディーゼル車の排気ガスや、幹線道路などによる騒音問題なんてぇ、タバコとは比べるべくもない規模の環境破壊に貢献しているクルマの規制については、ほぼ聞いたこともない。クルマの所有者はつい忘れがちだろうからこの際言っておくが、「クルマの安全性」とは「運転者と同乗者の安全性」のみのコトであって、歩行者専門の僕なんかは完全に無視された安全のコトなのだ。歩行者とクルマとは、最初っから平等な立場には置かれていないワケで、そこにこそ本来優先して法の整備がなされるべきなんじゃないだろうか。ひき逃げ事件とか、無謀運転のドライバーなんかを見ていると、ふとアイデアが浮かんだりもする。ハンドル中央からエアバッグが瞬時に出てドライバーの安全を守る代わりに、そこからドライバーめがけてヤリが突き出す設計なんぞに出来ないものだろうか。みんなおっかなくてビクビク運転するだろう。排気ガスなんかも1度車内を循環し、そこのフィルターを通ってから外に出ていく仕組みだったら、歩行者とクルマ所有者が平等でイイなと思う僕なのであった。カカカ。
●今日の１句　　遅々として進まぬ筆に八つ当たりするのだった
●今日のもう１句　　夕暮れ早まってビールの時間も早くなり