■一天にわかにかき曇り……

　とまあ、そんな大時代的な言い回しがふさわしく、真っ昼間というのに激しい夕立。戸棚から鍋だ、釜だ、包丁だ、などが落下するような激しい雷鳴。午後3時の空は、ここのところのほぼ夕刻7時の暗さ。そう言えば数年前、ちょうど電車に乗って都心に出掛けた折に、車中で見る間に一変する外の雲行きに不安さえ覚えたことがあった。あれはきっと移動中だったからこその心理で、今日のように部屋にいて見る空の激変にはさほどの不安を感じない。それどころか、クーラー切って久しぶりに開け放った窓の外からは、さまざまな外界の音が聞こえて面白い。雷鳴は、最初ブリキ缶を至近距離から落下させたような音に続き、数秒経って後、お馴染みのジェット戦闘機のエンジン噴射音を連れてくる。雨だれの音は今日のような土砂降りだと、時々数億の中でもとりわけ大きい1つの雨粒が自己主張するようにピシャリと地面を叩き付ける音が際立つ。その他大勢の雨粒は、シャーと大群に紛れ込んでしまうのに。時折、雨が小止みになると、それまで近所の木々に無為にへばりついていただけのセミどもが、ここぞとばかりにギーギーとがなりだす。そうか。やっぱり夏だったのだ。たまにはクーラーを止めて窓を開けてみよう。
●今日の１句　　気まぐれな驟雨をめでる気まぐれ
●今日のもう１句　　幌に白煙立つ雨伴ってトラック帰る
●今日のもうもう１句　　これしきの雨で鳴き止む蝉どもめ
●今日のもうもうもう１句　　暗くなった俺の時間だ