■打ち上げクジラ

　先日は九州、前日は茨城の海岸にクジラが大量に打ち上がった。で、今回は地元のヒトが数頭を食用にしちゃったらしい。こういう時、捕鯨大国ニッポンと動物愛護と地球規模の環境問題なんかがゴチャ混ぜになって、多くの日本人が複雑な心境になるらしい。とりわけ捕鯨は、戦後の日本人の貴重な栄養供給源として国策とさえなった感があった。それがいつの頃からか「日本固有の伝統の食文化」に組み込まれ、国際捕鯨問題会議などでノルウェーともども世界各国からの非難を受けてきた。僕は、地球環境の変化をとりあげるよりも先に、日本人の食生活の変化を考える方が先で、これだけ多様な食材に満ちあふれている今日、何もクジラを食べることもあるまいという消極的立場で、捕鯨反対だ。ところが、多くの捕鯨賛成派の主張の中には「お前らだってウシを食べてるじゃないか」というのがあって、これはまさに正論。そうだ、ウシもブタもクジラもニワトリも食べなければイイ。西欧社会の人々の「ウシは食べるけど、クジラを食べるの絶対反対」理論の裏付けは、人間の知恵による「管理飼育」できる畜産動物かどうかに根拠があるワケだが、一昨日あたりにヨーロッパの有名サッカー選手が連名で「韓国における犬肉食用非難」のメッセージを出したのだそうだ。僕ももちろん、犬肉なんぞは食えない。しかしこれは、まさに価値観の強要だ。