■「無理」という断り方

　セガレも時々それを口にするのだが、ＴＶなんかで若い人たちの会話で気になるコトバがある。それが「無理」という一言。電車を待つホームなんかでも、ケータイを使ってるヒトの「うん？　今から？　無理」などという途切れがち会話の中で散見（散聞？）することがある。何か相手の要請とか申し出に同意できない場合のセリフなのだが、自分はいつもどう言って不同意もしくは断りのセリフを吐いているだろうかと考えた。
「今日はちょっと都合がつかない」あるいは「やなこったい」などか。
　僕は頻繁に聞こえるそれら「無理」というセリフの圧倒的遮断力のようなものに、毎度ドキッとさせられるのだが、どうやら僕のように「やなこったい」と言うほど自分の都合で生きていないヒトたちの言語、それが「無理」なのかも知れないことに気がついた。
「あなたの申し出または要請に応えたい気持ちはあって、万障繰り合わせたいのは山々だけれど、こちらにもどうにもできない事情があって無理なんですヨ」
　若い世代の非自己主張型社会がかいま見えるようなコトバの使われ方として、どうやら浸透しちゃっている気がする。