■猫エッセイを書くまでに

　周囲に「猫好き」はゴマンといる。僕のところにも一昨年までの１８年間を大家に内緒の「秘密の猫」として生きていたヤツがいた。名前をライゾーと言った。老衰でじんわり静かに息を引き取る長い時間、ずっと見守り、死んだら年甲斐もなく大泣きした。
　もう数年も前のこと、友人のＨＰにライゾー入手のいきさつに関するショートストーリーを書いたことがあって、ヤツの後半生も書こうと思っている。猫好きの女性から、さっさと書け、と言われた。でも、まだ書けない。
　ときどき、目線を転じた先に白いタオルか何かが丸まっていると、瞬間的にライゾーを思い出してしまう。ダメだ。まだ僕は「ペットロス症候群」の渦中にいる。
　そうじゃ。ワシゃメソメソしたヤツじゃ。どこが悪い。フンッ。