■悪人顔
　およそ指名手配犯の写真とか、パスポート用の自分の顔写真とか、すべからく僕らの顔は「悪人顔」として十分に鑑賞に耐えるものである、ということは分かっている。日頃、笑顔ばかり振りまいて「善人のカガミ」と思われているヒトでも、それがいったん犯罪記事の中に載ってしまえば、その笑いがかえって悪人度を増幅させちゃう効果をもつんだから始末に悪い。
　ところで、テレビというメディアは、どんな非凡な人物さえも凡俗化させてしまう特性があって、その特性は同時にどんな悪人顔も「さほどヒドい悪人顔には見せなくさせる」という効果を発揮するものだ。
　で、本日、プロ野球監督の妻という以外、別段何事も為したワケでもないのにやたらと有名人になってしまった６９歳の女性が、脱税容疑で逮捕された。
　あの御仁、どう見ても女性にしては珍しく「肝の据わった本格的悪人ヅラ」をしていて、そのバイタリティーに感心していたのだが、何が悪いって、あんな悪人ヅラで性悪なのがハッキリ分かる人物を、ずっと重宝がって起用していたメディアや政治家の反省の弁ってのは、まるで聞こえてこない。（亭主はマヌケだなぁ）