■世間と社会

　オーバという静岡の高校時代を共有しながら東京生活でもつきあいが続いている唯一の友人（クサレ縁）が訪ねてきて、むやみに飲んだ。しこたま飲んだ。朝まで飲んだ。
　ヤツはウチにあったナポレオンのほぼ１本近くを空け、こっちは飲んだビールの本数が不明である。で、当夜の話題は「世間と社会」だったというワケだ。
「世間」というモノをほぼ断ち切って生きている「つもり」の僕は、それ故に親子・夫婦関係にまで「社会論」なのか「本質論」なのか「個人主義」なのかあまり自分じゃワケ分からん理屈を持ち出しつつ、ヤツを煙に巻くこと３０年なので、どうやらそーゆー意味で奇妙な敬意を抱かれているらしい。
　夫婦という社会単位、親子という社会単位に持ち込まれる「世間」の常識に結構翻弄されているところのあるヤツを非難するのは、これはもうどーしようもない僕の責務のようなもので、おマケにヤツはこのせちがらい時代にあって東京杉並区を支える地場産業であるアニメプロダクションの社長なんぞをやっている。飲めば飲むほどに、世間と社会と個人と家族と会社と社員とカネと資金と日本と社会と明日と今日と今年と来年などのあらゆることどもに混乱しているヤツがいて、なんだか僕みたいな単純な生き方してるロクデナシは、やっぱ少ないのかも知れないなどと思う。