キリンの見える交差点
通りの手前の角には刺繍好きの私には見逃せない刺繍専門店があり、八重洲通りの少し先にはブリジストン美術館がある。中央通りを先に進めば高校時代から時々来ていた丸善もある。だが、昔この辺りを歩いていたときには、こんなキリンはなかったはず。そもそもこのキリンの作者は誰だろう。そんな疑問を解くべく、今回インターネットを検索して作者の名前を探し当てた。鍛金彫刻家・安藤泉氏が1989年に作ったものだという。89年と言えば、息子は５歳。私が日本橋界隈をうろうろする暇がなかった時期に、このキリンは出現していたのだ。
そもそも私は動物園のキリンが好きだった。あの首の長さ、あの模様、あの目、もごもご動く柔らかそうな口。見飽きないし、周りに独特の静けさが漂うようで、見ている自分が不思議な気分になるのが子供心に不思議だった。この交差点のキリンはエレガントでハンサム。人と車のあふれる場所に立ちながら、やはり、私に独特の静けさを感じさせてくれる。
（2005年9月1日）
*東京都中央区日本橋3-4-10 ツムラビル角
作者は鍛金彫刻家・安藤泉氏
安藤氏のホームページはこちら。